お知らせ・ブログ

仕事が楽になるか?JetDrive500を使ったMacストレージ容量UP作業。

2016/10/14

プロローグ

仕事でもプライベートでもMacを使っています。MacbookPro、MacbookAir、iMacと使い回していますが、家内が使うAirの内臓ストレージ容量がもうアップアップ状態です。

MacbookAir 13-inchi Mid2011 フラッシュストレージ128GB

もともと、AirはHDDでなくこの時代でもフラッシュストレージだったため、後から買ったPro(13-inch, Late 2011 HDD500GB)よりも、起動においてはずば抜けて早かったんです。それで、Proの内臓ストレージをHDD500GBからSSD240GBへ入れ替えしました。それが2年ほど前で、結果は爆速。いつかはAirの方もということで、昨日から入替作業してました。

辛い入替作業になりました。

前回、Proを入れ替えた時はバックアップから最終調整までで、2時間から3時間くらいでした。自宅で夕食後にチャチャっとやった記憶があります。しかし、今回はそういかなかった。費やした時間は約36時間。しかもほぼ徹夜、仕事できませんからやるしかなかった。前回との違いは、家内がWindowsを使うためのBootcampを利用していたこと。この移行がうまくいかなかったんです。終わってみると、その部分さえクリアすれば、そこからは30分くらいの作業でした。スムーズにいっていれば、やはり4時間くらいでは終わってたのではないかと思います。

備忘録・同じことをやろうとしてる人のために。

<準備するもの>
・MacbookAir 13-inch Mid2011
Transcend Jetdrive500(Mac違いで選ぶものが変わります、詳しくはクリック)
winclone5(Bootcampを移行するために必要なソフト、英語版ですが直感でいけます)
・TimeMachine(Macについてるバックアップシステム)

<作業イメージ>
重要:なかなか長い解説になりましたが、内容はさほど難しくありません。大切なのは最初にしっかり全体の流れを把握しておくこと。解説を眺めながらの作業は意図せぬ結果を生む可能性があるので、作業に入る前に面倒でもご一読と言わず、ご三読くらいやってください。
①winclone5にてBootcamp領域をバックアップ
②TimeMachineにてMac領域をバックアップ
(もしもの場合のバックアップです、念には念を。)
③現在のMacの内容をJetdriveへ移行(解説ビデオあります)
④移行したJetDriveと内臓SSDをMacの背面板を開け入れ替える
⑤起動させると容量が増えた状態でMacが使える状態
⑥BootcampアシスタントにてBootcamp領域を確保する
追記:Bootcampアシスタントを使う必要はなかった!(Windowsを新規で入れる場合は必要)
※⑥ディスクユーティリティを使ってWindows用のボリュームを作る(パーティション分け)

⑦MacのOSXを復元させる
(この作業も今回は必要ないはずです。事故でやる場合はこんなやり方です的な内容です)
⑧最後の作業、Windows領域へwinclone5にて元のWindowsを復元

<実作業流れ>
①winclone5にてBootcamp領域をバックアップ
・winclone5Basicをダウンロードし、インストールする。その際、インストールプログラムとライセンスプログラム二つダウンロードされるので、インストール後のライセンス登録はこのプログラムを選択する。
・ここで作成するバックアップファイルは、ディスクトップに保存しておく(後で作業が楽になります)※1
・詳しい解説はこちらのブログが参考になりました。

②TimeMachineにてMac領域をバックアップ
・Macのすごく便利なありがたいアプリ、TimeMachine。外付けディスクなどを接続しておけば、勝手にバックアップを取ってくれます。今回は、SSD入れ替えに先立ち、もしもの時に備えて既存SSDの内容を手動バックアップ。
・使い方はこちらをどうぞ。

③現在のMacの内容をJetDriveへ移行
・解説ビデオを見てもらえば簡単にできます。

④移行したJetDriveと内臓SSDをMacの背面板を開けて入れ替える
・いよいよドキドキなMacの手術です。購入したJetDriveに付属してくる精密ドライバーを使って、Macの背面パネルを取り外します。このやり方も、先のJetDrive解説ビデオにありますので大丈夫です。注意すべきところは、ビデオにもありますが、SSDの抜き取り差し込みに際して、バッテリーから基板へ電力供給している、電源コネクターを必ず外しておくこと。また、SSDの交換が済んだら、忘れずに差し込んで背面パネルを取り付けることくらいです。過て通電したらMacがただの銀色のゴミと化してしまいます。

⑤起動させると容量が増えた状態でMacが使える状態
・SSDの入れ替えが済んで早速Macを起動させてみる。立ち上がりもProの時ほど感動はないが、スピードアップ体感できるレベル。appleマーク→このMacについて→ストレージを見てみると、当然だが容量が240GBに増えていた。これでMacの方はひとまず完了。

⑥BootcampアシスタントにてBootcamp領域を確保する
・ここからBootcampアシスタントを使って、入れ替えた240GBのSSDにWindows領域確保のためのパーティションを切っていく。Bootcampアシスタントは、Launchpad→その他→Bootcampアシスタントで使うことができる。
・ただし、BootcampアシスタントではWindowsの領域確保を目的としているので、事前に以下のものを準備しておく必要があります。
□Windows8.1のディスクイメージ(ISOファイル)これは現在使っているVerの物を→ここにありますので、エディションを確認してダウンロード。
□ダウンロードしたISOファイルを焼き付けるためのDVD、焼き付けておいてください。
□DVDに焼いたファイルからWindowsインストディスクを作るために5GB以上のUSBディスク
・これらが準備できたら、ISOファイルの入ったDVDと、5GB以上のUSBディスクをMacにつないでおきます。
・ここまで準備してから、Bootcampアシスタントの起動です。最初の画面(はじめに)にて続けるを押すと、次の画面で作業選択が現れます。
%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-10-14-15-44-03
3つのチェックボックスがありますが、全てを選んでおきます。それぞれに意味があるのですが、ここでの解説は省きます。
・ここからさらに先に進むと、先ほどMacにつないでいたDVDを使って、USB側にWindowsのインストールディスクがメッセージ通りに進んでいくと作成されます。この作業がだいたい1時間くらいです。
・それが完了すると、勝手に画面は変わりますが、いよいよパーティションの作成です。画面の案内に従って、Windowsのボリュームをスライドさせて確保します。僕の場合はMacメインで使い、Windows側で使うアプリは限られているので、35GBくらいを確保しました。
・作業が済むと勝手に再起動して、Windowsが立ち上がり、Windowsのインストール画面に移ります。ただし、ここではWindowsのインストールは実行しません。なぜなら、今回の目的は既存のWindows(Wincloneで作成したバックアップ)を後で復元させるためです。
・一旦Windowsのインスール画面を閉じます。すると、白い画面になり起動音がします。その起動音の後、commandキーとRキーを同時に押し続け、Appleマークが出たらはなします。
・するとMacOSユーティリティが立ち上がりますので、ここでディスクユーティリティを選択して、MacintoshHDとBootcampが内臓ストレージにできているか確認します。
%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-10-14-16-28-21
 

※⑥ディスクユーティリティを使ってWindows用のボリュームを作る(パーティション分け)
この作業を終わって落ち着いて整理してみると、パーティション分けのために⑥のBootcampアシスタントを使う必要はなかったようです。今回は、もともと使っていたWindowsをバックアップ取っていたので、それを復元させるだけのパーティションが作れればよかったわけです。Bootcampアシスタントは、新規でWindowsのインストールを伴う場合には有効ですが、今回のような場合このアシスタントを使い、メッセージに従い作業を進めていくとWindowsの新規インストールという無駄な作業が増えてしまいます。そのため今回は無理やりWinのインストールを中断させ次の工程に進んだわけです。今回のように、単純にWindowsのスペースを確保するだけのパーティション分けであれば、こちらのやり方が正解だったようです。
→ディスクユーティリティを使ってWindows用のボリュームを作る方法(パーティション分け)


⑦MacのOSXを復元させる
※この復元は基本的に今回の作業では必要ないと思われます。復元するまでもなく、③の作業でやったJetDrive500への書き込みで、Mac自体の移行は済んでますから。何かの事故でデータが壊れた場合などに生かしてください。
・MacOSユーティリティに戻って、今度はTimemachineバックアップから復元を選びます。ここで、入れ替えしたSSD(JetDrive500)に元のOSXを復元していきます。今まで使っていた環境が戻ってくるので仕事への再会も早いです。
・②で作ったバックアップを使うのですが、まだ外付けディスクは繋がないでください。
・画面の案内に従い先へ進んでいくと、「バックアップ済みデータの選択」という画面にたどり着きます。そのままでは選べるディスクがなく真っ白だと思いますが、ここで先ほどの外付けディスクをMacにつなぎます。そうすると、その画面にディスクが表示されますので、その外付けディスクを選択します。
・次の画面で、いつの(日付と時間)データを復元しますか?と聞いてきますので、対象のものを選びます。通常は最新日付のものだと思います。
・対象のデータを選択して先に進むと、どのディスクに復元しますか?と復元先を聞いてきます。もちろん、先ほど作ったMacintosh HDを選択します。復元中の案内が出て勝手に進みます。この復元作業が1時間くらい、バックアップデータの量によて変わると思います。

⑧最後の作業、Windows領域へwinclone5にて元のWindowsを復元
・Macの復元が終わると再起動してMacが立ち上がります。Lanchpad内にWinclone5があるはずなので、起動します。Wincloneが立ち上がるので、今度は右側のRestore Imageを選択します。
・先に進むと、復元させるデータはどれですかと聞いてくるので、①で作ったバックアップデータ(clone/クローン)を選択します。警告っぽいメッセージが出ますが、構わずRestoreを押します。(※1)
注1)ここで「Cannot write to MBR」というメッセージが出る場合は<別記>をご覧ください。今回僕はここを解決するために10時間くらいかかっちゃいました。原因は、SSDの乗せ替えとBootcampの移行を同時作業していたためです。ネットに上がっている情報は、よくよく見るとSSDの乗せ替えだけだったり、Bootcampのパーティション変更だったり、微妙に条件が違ってました。今回の僕がやりたかったことは、多くのユーザーが考えることだと思うのですが、ネットに上がっていませんでした。
・勝手に作業は進みますが待ち時間は1時間くらい。作業完了は、「Completed」というメッセージ。
・ディスクユーティリティを使って、最終確認。BootcampからWindowsを起動させてみる。うまく起動し、元の状態に戻っていれば成功だ!

<別記>Cannot write to MBRメッセージに苦労した。
・まずこのメッセージの意味ですが、ネット上の情報によると「新しいOS XはSIPというセキュリティ機能があって、重要な部分(MBRとか)へのアクセスが出来ないようになってる」らしいのです。
・このSIPの設定を変える必要があるのですが、その設定を変えるにはターミナルを使います。このターミナルは、アプリ→ユーティリティ→ターミナル.appがありますが、それではありません。
・今回使うターミナルは、Command+Rで立ち上がるOSXユーティリティにあります。OSXユーティリティを立ち上げ、上部のメニューバーからユーティリティを選択。その中にあるターミナルを起動します。
・黒いコマンド入力画面が立ち上がりますので、その中に「csrutil disable」と入力しエンターキーを押します。すると、写真のようなメッセージが出て、SIPの無効化が完了します。
重要)この無効化コマンドはセキュリティの脆弱さを伴うので、全ての作業が完了したら必ず元に戻しておいてください。その方法は、先ほどのターミナルを立ち上げ、「csrutil enable」と入力しエンタキー。これでSIPの設定が有効になりました。
%e3%83%95%e3%82%a1%e3%82%a4%e3%83%ab-2016-10-14-17-33-10 注2)この時のメッセージが「command not found」の場合はもう一手間かかります。コマンドがありませんというメッセージなので、困ったもんです。解決策は、OSXの上書きインストール。方法はそんなに難しくなくこちらで解説してあります。 OSXの上書きインストール:データを消去することなくOSXを再インストール

注3)この時、再インストールしたいOSXのバージョンが違っている時があります。これはそのMacの出荷時に入っていたOSXです。使い続けるうちに、数世代のOSXにアップグレードされているはずです。その場合は、使いたい(現在使っていたOSX)OSXをダウンロードして、インストールする必要があります。
方法はこちらになります。

注4)上段の現象の発生は、command+Rの後に「internetリカバリー」という画面が現れ地球儀が回り(15分程度)、その後OSXユーティリティが立ち上がる場合のようです。この地球儀を何十回も見ました(涙)。
%e3%83%95%e3%82%a1%e3%82%a4%e3%83%ab-2016-10-14-19-18-43 要は、OSXに何らかの欠陥があるので、ネットから勝手にダウンロードして、OSXをインストールしてくれているみたいです。ただし、そのOSXが出荷時点でのもの。ありがたいのか、嫌がらせなのか・・・。ここも手間かかりました。


注5)結局、注2)のコマンドがありませんというメッセージ、その意味することは注4)にも繋がりますが、「csrutil」コマンドは最近のOSXに登場したコマンドであるため、工場出荷時の古いOSXでは存在しないということでした。最後にこれがわかったので胸の中がすっーとしました。


プロローグ

長い道のりでした。36時間くらいかかってやっと作業終了。途中ひっかっていたのは全てイレギュラーな内容ばかり。一つ一つの問題点をあぶり出し、可能性を追求し、そして結果を想像想定し、繰り返し試してみる。今回の備忘録が同じ境遇で苦しむ方々に生かされれば嬉しいです。ただし、Macを開けたり、ターミナルでコマンドいじったり、OSXの再インストールだったり、いろいろな危険な作業が伴います。自己責任で覚悟を持ってチャレンジしてみてください。作業を終えて早速Air使ってますが、起動が早くなったのは体感できます。Windowsへの移動もスムーズです。20,000円そこらで5年もののMacが現役で使えるのはやっぱり魅力的でした。

 

 

【家づくりセミナー】良い住宅会社、どこで判断していますか?

2016/09/23

参加してよかった!につながる、家づくり勉強会の告知です。

NPO法人日本マイホームプランナーズ協会(通称JAMP/ジャンプ)にて、家づくりをお考えの方向け勉強会が開催されます。

普段は、住宅会社さまの法令知識スキルアップのために講習会を開催している同協会が、初めて消費者向けの勉強会を、熊本市の後援の元開催いたします。募集は先着20名さまとのこと、詳しくは下記同協会サイトか、リビング新聞2016年10月1日号(9月28日・29日配布)をご覧ください。※リビング新聞読者の方にはプレゼントがあるようです。詳しくはリビング新聞記事をご覧ください。

どのメーカー・住宅会社にも属さないNPO法人だからこそ、あなたにとって有意義な情報が手に入るはずです。当日は講師への直接質問も可能だと思いますので、現在抱えている問題を手にぜひご参加ください。ネットで検索するより確かなものになるはずです。

住宅関連法令知識認定機関
NPO法人日本マイホームプランナーズ協会
良い住宅会社、どこで判断していますか?

開催情報
日時 : 2016年10月8日 10:00〜11:30(9:30受付)
場所 : くまもと県民交流館パレア第6会議室
参加費: 無料

 

 

高さをデザインすること。

2016/09/10

2次元で考える。

耐震等級3、2013年省エネ基準の長期優良住宅を住宅の基本性能とし、その性能スペック以外の部分について、楽しく暮らす、気持ちよく暮らす、永く暮らすを強く意識して設計しています。すべて快適に暮らすためのものですが、中でも特に注意を払っているのが高さについてです。

建物にはというより、3次元のすべて世界では幅と奥行きそして高さが存在します。幅と奥行き、あるいは幅と高さなど2つの方向への表現は2次元な訳です。家づくりで目にする設計図も2次元。この2次元の図面を見て、瞬間的にその空間を想像するのは一般の方には難しいでしょう。そこで登場したのが3D図面、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-09-10-12-51-11
こちらは、住宅のある部屋を横からぶった切ってみている図面で、断面詳細図といいます。この図面の中にこれからそれぞれの高さや、幅などの数字を追記していきます。このような図面と合わせて、間取り図(平面図と言います)があるわけですが、専門家はその2枚の2次元図面から空間を想像し、デザインしていきます。

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-09-10-12-53-21
※3Dの構造イメージ図。住宅の骨組みを確認するのに重宝します。提供:きいぷらん

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-09-10-13-19-26
 

平面的な2次元と断面的な2次元の2つの図面を用いながら、そこに不足するもう一つの数字、奥行きとか高さなどを考え設計を進めていきます。建築士の資格を持つ人がすべてその想像ができ、うまいデザインができるかというと決してそうではありません。この世界にもやっぱり、うまい下手があるんです。

高さの感覚が明暗を分ける。

じゃ、うまい人ってどんな人でしょう?それはズバリ高さの感覚を持っている人。奥行きや幅などの感覚も大事ですが、高さの体感にてその空間の落ち着きがものすごく変わってきます。普段通い慣れている学校や職場、その空間の天井の高さって気にしたことありますか?今お住いの家の天井高さだって気になっていないかもしれません。

キャップやアウトドアでテントを張ることあると思います。最近ではタープを張って、BBQなんてのも多く見かけます。

takibi-tarp-cotton-recta_main_l
※タープイメージ、ピンタレストより

写真見てても気持ち良さが伝わってきます。この気持ち良さどこから生まれているのでしょう。もちろん静かな高原、奥に見えているのは富士山でしょうか、こんなロケーションだったら気持ちいはずですね。でもロケーションだけじゃないんです。大きく影響を与えてるのはタープの高さなんです。このタープ一番低いところはおそらく1.8mくらいでしょう、ちょっと背の高い人だと頭が当たる高さです。その低いところから、一番高いところ(おそらく2.4m)へ天井が登っていっています。

これが、1.8mのままフラットでは使いにくい、2.4mのままでは中途半端な高さで、ここまでの落ち着き感は出なかったでしょう。どこかのコマーシャルで「天井は高いほうがいい」ってありましたが、このタープなくしたらものすごい高い天井になりますが、果たしてこの気持ち良さは得られたでしょうか。

高さを抑えることで、人は安らぎや落ち着いを感じ、その空間を心地い所と認識するものです。しかも無意識のうちにです。普段歩いている街の中にも、この高さのせいで心地いお店や、そうでないお店もいっぱいあるのです。「ここ気持ちいいな」となんとなくでも感じるところがあったら、そこの空間がどんな高さで構成されているか見てみてください。ちょっと手を上に伸ばしてみれば想像つくと思います。170cmの人が手を伸ばして指先で大体210cmくらいです。この高さの感覚が、住宅の心地よさを左右するんです。

想像する空間は暮らしに繋がる。

高さの感覚が大事と言ってきました。うちで住宅を設計する場合、全体的になるべく低くデザインしています。天井の高さは2.1m〜2.2m、軒の高さを地面から2.8mくらい。この高さは庇の先端で2.2m〜2.3mくらいになります。ちょっと背の高い人が手を伸ばせば手が届く高さです、家の軒先に手が届くってちょっと不思議ですよね。でも、さっきのタープと同じ効果がある。想像できるでしょ、気持ち良さげに見えるの。

室内の天井も同じです、一見2.1mって低く感じますが、暮らしでの不便はありません。身長が2.2mオーバーの人には辛いでしょうが、1.8mの人でも頭をぶつけることはありません。普段の生活を振り返ると、座っていることの方が多くないですか?ソファに腰掛ければ目線は床から1.0m〜1.2mくらいです。2.1mの天井高さでも圧迫感はなく、かえって心地よさを覚える高さです。つまり、高さというのは普段の暮らしの中から、適当な寸法を導き出すものなのです。

広さと高さのバランスも忘れるな。

とはいうものの、何でもかんでも低くというのは無茶があるかもしれません。暮らし方だけでなく、その部屋の広さ(平面的な幅や奥行き)とのバランスを見ながら高さを設定していく必要があります。結局のところ、1/1(原寸大)の模型でもない限り、その感覚を伝えることはできません。我々専門家は、そんな空間バランスを知識と経験(建築的なものだけでなく、家事や子育てなどの普段の暮らしも含め)から想像し、快適な住空間を創造していきます。いかがでしょう、これまであまり意識されなかった高さのイメージ。少しでも気にしてもらえたら、もっと心地いい住まいを手に入れることができるはずです。

 

 

 

 

キッチンの勘所、メーカーショウルームにて。

2016/09/7

基本設計がまとまり、実施設計へと移ってきた方形屋根の家。先日は、水回りの設備機器を確認ということで、二つのメーカーショウルームへ行ってきました。震災後、来場者が多いみたいで土曜日曜はいっぱいいっぱいとのこと。平日にお休みを取っていただき、ゆっくり見てきました。

IMG_6336
タッチレス水栓。

これはうちの設計では標準的にお勧めしています。洗い物している時など、いちいち水を止めるのに蛇口を触ると、周りがべちょべちょ水浸し。特に、揚げ物や油物を触りながら、ちょっと水を出したいという時なんて、蛇口がべちょべちょのベロベロ。それが嫌でずっと出しっぱなしていう方もいるのでは?このタッチレス水栓は、そんな食事の支度のストレスを解消してくれます。

LIXIL ナビッシュ             SF-NA471SU 115,000円
LIXIL グースネック    SF-HM451SYXU  65,000円

上記の場合、約2倍の50,000円の差ですが、これは定価なので実際の取引では20,000円〜30,000円程度の差にしかなりません。先に書いた食事の仕度ストレスを解消してくれるのであれば、絶対オススメなのです。楽チンなだけでなく、水やお湯の使いすぎを抑える役目も果たしてくれるという、環境配慮型です。ちょっと贅沢と遠慮している奥さま方、全然そんなことないと思いますよ。

次はビルトインコンロ。

IHタイプかガスタイプか、使われる方々で真っ二つに別れるところです。やっぱり炎が見えた方が料理やってる感があっていい、という方や、安全で火力調整がわかりやすいIHの方がいいわ、オール電化でIHの方が家計に優しそうだから。いろいろな要素があり、悩まれる方も多いですね。そんな時「古市さんだったらどうします?」って必ず聞かれます。そこでどう答えるか、専門家としての見栄の切りどころです(笑)。そんな時はこう言います。

「僕だったら両方つけます。」

おいおいって回答ですが、意外と真面目に答えています。要は料理・用途の違いで使い分けたいということです。どちらにも得手不得手があるのは当然ですね、それなのにそれぞれを均等に比較しても答えは出ません。最終的には、家事、特に料理に対する奥さまの哲学で判断してしまえばいいのです。哲学なんて難しく書きましたが、フライパンは振り回したいとか、煮込み料理はしっかりそばで見守りながらとか、家庭の味を子供達にしっかり伝えたいとか、そんな料理に対するちょっとしたこだわり?それが使う人の哲学なんだろうと思います。意外かもしれませんが、ホテルの調理場ではIHへの移行がずいぶん進んでいます。これはプロの料理人として、美味しいものをいつも安定的にという哲学が、そこへ向かわせているのかなとも思います。

IMG_6337
グリルも、

ずいぶんすっきりしてきましたね。水を張るための受け皿がなくなっています。美味しい焼き魚もベトベトのグリル洗いは面倒なところでした。焼き魚といえば、先日こんな物を買いました。



まだ使ってみてませんが、レビューを見る限り、かなり期待できそうです。焼き魚の匂いもダイレクトに出て、今からすでに美味しい焼き魚を想像してしまいました。

収納もすごいな。

IMG_6339 IMG_6340
引き出しの前に、薄い収納が収められていました。なるほど、キッチン周りで収納しづらい細者たちが納まっています。オリジナルキッチンを作ること多いですが、これ作れなくもなさそうです。今度チャレンジしてみます。まぁ、必要ない場合は非効率な出費になるので無理には作りませんが、アイデアということで。

IMG_6343
ステンレスの天板も、一昔前のエンボス柄だけではなくなっていました。いわゆるヘアライン仕上げ、オリジナルキッチンを作る際はこの仕上げが多かったです。エンボス柄の方が傷がつきにくいという利点があるようですが、使っていくうちに傷つくのは当たり前。それより、グリグリ洗い磨きがかけられるヘアラインの方が僕はオススメです。水垢まみれのシンクなんかも、ステンレスたわしでゴシゴシやれば、ピッカピカに蘇りますから。エンボス柄は、コーティングもしてあるようなので、そんな風にゴシゴシはいけないようです。

開発者たちの・・・。

IMG_6352
引き出しも内部で数段に分けてある。メーカーの商品開発すごいな、毎日こんなアイデアをいくつもいくつも出してるんでしょうね。大半はボツになるだろうから、このショウルームで見るものは生き残ったアイデアばかり。開発者たちの日常をついつい想像してしまいました。

IMG_6353
除菌水。

という水が出てくる水栓が付いてました。こちらはTOTOのシステムキッチンです。まな板や包丁など、雑菌が残りそうなものを除菌できるとのこと。ちょっといいな、

古市:「この水栓だけ購入できますよね」

TOTOのお姉さん:「水栓だけはないんです、キッチンにセットされるもので。」

オリジナルキッチンでも使えたらと思いましたが、やっぱりダメでした(涙)。ちょっと手間かけて、ハイターの付けおきか、熱湯消毒ということでいきましょう(笑)。

写真撮ってたのキッチンばかりでした、他にもユニットバスや便器に洗面台と見てきたのですが。普段から台所に立つことが多いので、無意識に興味ある部分だけ写真撮ってたみたいです。今回の計画では、キッチンはオリジナルの予定です。今回のショウルーム見学で、いろいろな可能性が見えてきました。より快適に、より楽しく食事の支度、そしてあと片つけができるよう考えていきます。

 

 

驚愕!食器洗いの常識が変わるかも?

2016/08/12

熊本の暑い夜にはここでしょ。

昨夜は久しぶりに街へ繰り出してきました。まずは、酒と料理とサービスのいい熊本のお店「安坐(あぐら)」さんで食事。いつもと変わらぬ安定感で、ゆっくりと呑めました。

image
※昨日の様子は写真撮ってなかったので、公式サイトより写真を拝借しています。

十分お腹も満たして、それでも話足らずにお酒だけをゆっくり呑もうということで、次はお茶目なマスターが切り盛りしているBar Calme(バーカルム)へ。お茶目なマスターとは20年ぶりくらいの再会です。facebookでつながり、アポなしで突撃してきました。地図を頼りにお店に到着、待ち受けていたのはこちらの張り紙。

13903411_1237567662928584_8487613922613459942_n
気温35度の街の中を歩き続けてやっとたどり着いたらこの張り紙。看板すら見えませんでした。お店の中はお客さんでいっぱい、なんとか3人座れましたが人の熱気と、ビルから放熱される輻射熱で、クーラーの故障を最大MAXで味わえました。話も大いに盛り上がり、室温上昇に一役買ったでしょう(爆)。

食器洗い意外と好きです。

さて、今回のお題です。みなさん、食器洗いにどんなスポンジ使ってますか?「そんなん、気にしてないよ!」と言ってるあなた、無駄に水と洗剤使ってるかもしれませんよ。

今回の熊本地震では、避難先にした事務所でも変わらず炊事をやってました。当然その間食器洗いもやったわけですが、その食器洗いの最中に驚くべき事実を発見。←僕だけかな?いつものように鼻歌歌いながら食器を洗っていると、ふと疑問に思うことが。それは、スポンジの黄色い柔らかい方と、緑のザラザラした面との使い分け。

IMG_6291
みなさんどうされてますか?多分、ザラザラ面で頑固な汚れを落とし、柔らかい方で傷つきやすいコップなんかを洗われてるんじゃないでしょうか。その使い方本当にあってるのでしょうか?これが僕の疑問でした、わざわざ面を変えて作ってあるこのスポンジ、開発者には確固たるその目的があったはずです。それが、世の中では「なんとなく」で済まされているのでは?

やってみることで身になる、知識になる。

いろいろやってみました。食器全部を緑の面で洗ってみたり、食器全部を黄色い面で洗ってみたり。汚れによって使い分けてみたり。それで出た結果はこうでした。

IMG_6292
基本的に黄色いスポンジの方が綺麗に汚れを落とす!

意外でしたが、黄色い面の方が汚れをしっかり落としてくれます。落とすというより、からめとってくれているような感じです。それに対して緑の面は汚れを広げてしまっているような。緑の面は明らかに、こびりつきや焦げなどを落とすための研磨作用を重視しているようです。しっかりとそんな違いが見えてきました。そして更に驚くべきことが。

食器洗いに洗剤は必要ない!

そうなんです、このスポンジの使い分けと特性をしっかり利用すると、洗剤が必要ないんです。エェ〜って感じですが本当です。そのことを知ってから、僕は今でも食器用洗剤を使っていません。やってみたことない方多いと思うので、騙されたと思って一度チャレンジしてみてください。驚きの事実を体験できます。手荒れや環境問題を気にしなくていい、食器洗い洗浄機なんて必要ない、そんな食器洗いができるんです。

ただ、ちょっとだけ下処理が必要です。

下処理と言っても何も特別なものが必要なわけではありません。その下処理とは、「いきなりスポンジでゴシゴシではなく」

・シャワー水栓で水流に勢いをつけ大雑把な汚れを流し落とす。

・水でもいいけど、できればお湯を使う。

・食事の後なるべく早めに下処理をする。

・決して食べたままの食器をつけ置きしない。

この4つです。どれも食器洗いの基本のようなことですが、これらを守れば食器洗い用洗剤は必要ありません。意外なのは、最後に挙げた食器のつけ置き。この行為は汚れを柔らかくしたり、落としやすくしたりと一見良さそうですが、汚れを他の食器へ移してしまい、洗い物を増やしてしまう結果になります。

「いやいや、プラスチックの保存容器・弁当箱とかについた油汚れはダメでしょう。」というそこの奥さま。それも大丈夫です、強力な油汚れの CMで有名なあの強力洗剤。手荒れがねぇーって方も多かったと思います。このプラスチック容器についても実験してみました。まずはシャワー水流で大まかな汚れを洗い流し、次に流しながら黄色いスポンジ面で丁寧に隅々まで洗ってみます。

CMでキュッキュっていってますが、洗剤なしでもこんな音が聞けました。要は、黄色い目の細かいスポンジの穴に、油汚れがしっかり吸着されているのでしょう。そういえば、ちょっと前に毛糸のスポンジって流行りましたよね。きっとあの毛糸のっていうのも、同じ理屈だったんだろうと思います。

IMG_6293
いかがですか?意外でしょう。洗剤なしできれいに洗えるなんて。我が家ではこのことに気づいてから、食器用洗剤の使用量が激減しました。使った方が効率が良い場合は洗剤も使っていますが、この理屈がわかれば洗剤の使用量はぐっと減らせます。家族6人だと、食器洗いの量もそれなりに多いです。子供たち(特に娘たちに)に、こんな普段の何気ないことも伝えていけたらと思います。

まだまだ、疑ってる奥さま。一度騙されてみてください。ちなみに、このスポンジメーカーの紹介動画がありましたので、こちらにはりつけておきます。残念ながら、僕が求めるようなマニアックな説明はありませんでした(汗)。



 

 

 

日よけ設置で暑い夏を快適に。かっこよく日よけを張ろう!

2016/08/9

暑い暑いって毎年いってるけど・・・

いよいよ8月ですね。それにしても今年は例年になく暑いように感じますが、皆さんはいかがですか?僕だけなのかと気になったので、ちょっと調べてみました。

気温の違い
これは気象庁が提供している過去の気象データを切り取ったものです。簡単にということで、去年2015年7月と今年2016年7月の気温部分だけ比べてみました。去年も暑い暑いと言っていたようでしたが、やっぱり今年の方が暑いようです。赤丸が比べてみて暑かった日です。今年の方がはるかに赤丸が多い、僕だけがボケていたわけではないようです。

さて、そんな暑い日が続いて一月以上。自宅の西側の部屋(子供部屋)が例年以上に暑い、西日対策をせねばと毎年思っていたのですが、今年やっと手をつけることができました。せっかくやるなら、備忘録をということで作業の流れを書いてみます。対策の内容は以下の通り。

”西日が西側の窓及び外壁に直接当たらないように、日よけをかっこよく取り付ける”

まずは、準備物です。工具がないとなかなか手を出しづらいところですが、家のメンテナンスを考えれば自前のものを準備しておいてもいいでしょう。特にインパクトドライバーはあればものすごく便利です。

IMG_6204
左から、金槌・ハサミ・鉛筆・コンクリートドリル・ドリルチャック・ペンチ・ビニールテープ・メジャーそしてインパクトドライバー。それぞれの使い方は流れの中で解説します。

今回日よけに使った材料です。

IMG_6203
木綿のヒモ・ヒートン・コンクリートアンカープラグ・日よけ。遮光性の違い、丈夫さなどで価格の違いがあるようです。数シーズン使うつもりでちょっといいものの方を選びました。シーズン中に破れたりすると結局無駄になるので、いいものをより長く使うことを選択。

取り付け作業開始。

準備ができたところで、いよいよ作業開始です。まずは、取り付け位置の確認です。

IMG_6181
ここが西側面です。お隣さんも平屋で、間隔も広いので西日は差し放題です。二段構えの窓が子供部屋の窓で、手前の小窓は玄関の窓。玄関は今回はいいかということで、子供部屋の窓と外壁をスッポリ囲うことにしました。長さが4mになります。使う日よけは、2m×2mを2枚使いです。

日よけを掛けるためにヒートンを取り付けます。取り付けイメージはこんな感じ。

IMG_6182
このヒートン、ご存知の通り手でグリグリと回すと、ネジが木部にめり込んでいきます。が、手で回し続けるのは辛い。労力を少なくするためと、綺麗に仕上げるために、ヒートンを打つ位置を、日よけにあいてる穴に合わせてマーキングします。ヒートンの下に見える鉛筆の印がそのマークです。

IMG_6183
マークしたところをインパクトドライバーに木用のキリをセットし、下穴を開けます。ヒートンのサイズにあった下穴にしましょう。すごく楽にヒートンを綺麗に楽に締め付けることができます。綺麗にというとこ大事です。

IMG_6185
下穴にヒートンをグリグリと。

IMG_6186
日よけにある穴の数だけヒートンをグリグリと。取り付け完了です。

IMG_6187
取り付けたヒートンに、日よけを吊っていきます。ヒモも劣化しにくいものを選んでみました。こちらのヒモは日よけにセットで付いていたものです。

IMG_6189
2枚を並べて吊っています。2m幅の日よけを2枚で4mの幅を確保し高さが2mになっています。

次は、日よけを下から引っ張るために、ブロック塀にもヒートンを取り付けます。そのままでは取り付けできないので、コンクリートアンカープラグを使います。アンカーを打ち込んだ状態はこんな感じです。

IMG_6198
コンクリートブロックに、プラグ打ち込みのための下穴を開けていきます。

IMG_6192
インパクトドライバーにコンクリート用のドリルをセットし、思いっきりグリリリィーっといきます。アンカープラグにあった下穴サイズで所定の深さまで掘り進みます。ドリルに白いビニールテープを貼っていますが、そこまで掘り進むとアンカーにちょうどよい深さになります。

IMG_6190
空いた穴にプラグを差し込み・・・

IMG_6196
金槌でトントントン。下穴の中にコンクリートクズが残っていると入りにくくなるので、フーフーって埃を吹き飛ばしておいてください。

IMG_6198
打ち込み完了。なんかこの状態いつ見ても好きなんですよね。かわいいというか、なんというか。ホームセンターに行くとこのアンカープラグは売ってありますが、サイズごとに色が違います。このオレンジ系は径が5mmの物で、黄色だと6mmになってます。その彩りもかわいいんで、ついつい買いすぎてしまいます。

IMG_6199
んで、ヒートンをグリグリとねじ込みまして、

IMG_6200
日よけの穴に通したロープをヒートンに回します。

IMG_6201
ロープをすべてに通し、それぞれにちょうどよいテンションをかけてやると、こんな風にサマになります。街でよく見かけるヨレヨレに張ってある日よけを目にしますが、せっかくやるなら見た目も美しくやりたいですよね。コツはいかに効率良くテンションかけられるかです。それを考えながら、ヒートンの取り付け位置を決めていきましょう。

IMG_6202
窓だけじゃ威力を発揮できない!

裏からも気持ち良くできました。見た目はテンションで調整したが、日よけの効率のよい使い方は、その幅の見極めです。今回、幅方向は子ども部屋の壁を全部覆う4mにしました。これも良く見る光景ですが、窓の部分だけしか日よけしていないお宅が多いです。窓から直接日が差し込むから、そこをカバーするというのも確かにわかりますが、西日といいながらその日差しだけでなく、本来は熱を遮りたいのです。

「直射日光だけを室内に入れない」のであれば窓の範囲だけでいいわけですが、熱となれば壁も範囲に考えるべきなんです。西日の熱で暖められた外壁の熱は、温度の低い室内へじわりじわりと熱移動してきます。これが、日が落ちた後でも部屋の中が暑くなる熱の流れなのです。それを和らげるためには、壁へあたる西日もカットすることなのです。

性能だけでなく、かっこよさも重要なんです。

今回の日よけ設置で、無断熱の自宅西側壁の表面温度は2度ほど下がりました。数値的にはその程度でしたが、体感的にはずいぶん違うようです。夜の熱気ムンムンがだいぶ和らぎました。視線を程よく遮りながら、気持ちのいい日は窓全開フルオープンもできます。見た目にもすっきりとかっこよくまとまったのではないでしょうか。築40数年の古い平屋ですが、手を入れるとそこそこいい雰囲気を出してくれます。

最近は、サイズも素材も色々あるようです。エアコンの温度を下げるだけに頼るのでなく、こんな日よけをつけてみると、エアコンの設定温度を上げることも可能です。家計にも優しい日よけの設置、ぜひチャレンジしてみてください。

 

 

広い敷地に、大きな家。普段の仕事とはちょっと違う迫力の住宅計画開始です。

2016/06/29

時折雷も遠くで聞こえ、静かな雨音が開けた窓から聞こえてきます。梅雨らしい雨もようです。

P1010911
先日に続き、現在設計中の住宅の紹介です。こちらは、久しぶりの鉄筋コンクリート造住宅。地震の後にRC造へとなったわけでなく、依頼頂いた時からの強いご要望でした。広い敷地に広い建物、土地探しから始まった計画でしたが、なかなか希望に見合う広い土地が見つからなく、先に進めずにいました。

通常、土地が決まってその土地に感じるものを見出し、家の計画に移るのですが、この住宅は特殊です。施主のイメージする暮らしのスタイルを優先し、なんと建物を先に計画しました。それで出てきたアイデアをプレゼンテーション、気に入ってもらって「この住宅にあう土地を探す」と言っていただくというなんとも豪快な計画です。

P1010910
外部との繋がりを絶ちつつ、光や風そして気配は感じられる、そんなレイアウトです。特徴は外部すべて打放しコンクリート仕上げであること。家の温熱環境計画の上では、外側に断熱層を持ってきたいところですが、打放しが絶対条件。どう環境をコントロールしていくか、詳細な検討が必要です。ちなみに、この模型は土地が未確定の段階で作ったものです。手前を南側としていて、東西に長い長方形のプランです。つまり、東西方向に広くないとこの建物が入らないというちょっとドキドキな計画だったのです。

P1010909
土地が決まったので、外回りの計画も模型に落とし込んでみました。広い敷地なので、表(道路)とどう繋げるか、所有自動車の侵入経路をどうするか、来客のためのアプローチは?など、広い敷地(道路から建物までの距離が長い)特有のアイデアが必要です。広い土地なので、外構にかかる費用もどうしても大きくなります。全体計画の中で、どう予算配分するかも工夫が必要でしょう。

普段は、小さくコンパクトにという設計が多いわけですが、小さくまとめられるからこそ、大きな計画にもその経験がいかせそうです。広い空間に、小さな『場』をちりばめ、ただただ広いだけの殺風景な住まいにならないよう、計画していきます。楽しみな計画が二つ進んでいます、乞うご期待!

 

 

方形屋根をもつ、心地よく快適な住まい計画の始まり。

2016/06/27

地震で遅れていた新築計画が2件、やっと動き出しました。どちらも楽しみな計画ですが、今日はこちらを紹介します。

IMG_6167
屋根が特徴的な平屋の住まいです。正方形の間取りにそのまま屋根をかぶせています。右奥に、お風呂と脱衣所、洗濯室をくっつけたとてもシンプルな形をしています。現在ご夫婦お二人ですが、建物完成の時期にはご家族が一人増えます。将来は4人家族ということを前提に計画をまとめてきました。広さは相変わらずの21.5坪ほどに納まっています。この広さが一つの基本形になりつつあります。この基本形に、家族ごとの生活スタイルとしての場(空間)をシンプルに追加していく感覚です。

敷地に対して、建物が少し振れています。建物を方角にきっちり合わせた結果の配置ですが、そのおかげで庭の使い方にも広がりが持てました。南側の庭とデッキテラス、リビングへのつながりが気持ちよさそうです。

IMG_6168
しっかりと庇に守られたデッキテラス、完全にアウトドアリビングです。とても魅力的なデッキテラスですが、利用の方法、メンテナンス方法、雨の避け方など想定して計画しないと、使いにくいもったいない存在になってしまいます。「積極的に使いたくなるような仕掛け」こういったデッキテラス成功には必要な要素です。

プレゼンテーションが4月初旬、地震をはさんで本日第一回目の間取りミーティングでした。基本的にこちらの提案を気に入っていただき、この模型にてご自身たちの暮らしを想像してもらい、ほんの少しだけ計画の見直しを進めます。いいものになりそうです。今回も長期優良住宅認定でいきますが、グリーン化事業にも参加します。性能もしっかりした素朴で、気持ちいい家。そんな素敵な家なのですが、ちょっとしたオチもあります。

長期優良住宅の条件である床面積最小制限、なんと75㎡以上なんです。小さくても快適に計画できているのに、そのせいでもうちょっと大きくしなければなりません(涙)。「必要な広さが確保された、暮らしやすい家」これが75㎡の根拠とのこと。暮らしやすさでいけば、75なくてもいけるんですがね。

何れにしても、気持ちいい住まいになりそうです。進捗はまたこちらで公開していきますのでお楽しみに。

 

 

振り返ると足跡、これからの道。

2016/06/2

前回のブログからひと月が過ぎました。震災調査の中で見つけた、大工の心みたいな内容でした。

2016.04.29 大工の仕業?点検口のトラップ!

さて、その調査業務もだいたい整理がつき、各住宅ごとの調査報告書として、被害の状況、その被害部分のリスト化、補修にかかる概算金額を添えてまとめることがでいました。ここまで、調査開始からひと月半掛かってしまいました。今となっては、もうちょっと早くできなかったのかなとも思いますが、正直あっという間で、そんなに時間経ってたんだと変な感覚です。

IMG_6107 (1)
A4用紙を横使い、総数500枚くらいになり、インクタンクを補充しながら出力完了。撮影した写真もゆうに1000枚を超えているようです。そういった結果を見ると、1日1日のことは少しのことでも、一歩一歩復旧の道筋ができているんだな、できるんだなと実感しました。

あとは、この報告書をみなさまにお届けし、補修内容を決めていきます。すべて補修したいところですが、限りあるお金です、やるべきところ、後回しでいいところの見極めを一緒に考えていきます。とはいうものの、補修と言葉の響きが嫌なので、なんか前を向いてるぞ、楽しめてるぞみたいな言葉を探している最中です。

後を振りむく時は、自分を励ます時。自分がやってきたことを見て、よくやったと褒められるようなものを残していきたい。そのためにも常に前を向き力強く生き、まわりにも楽しさや、ワクワク感が伝えられたらと、そんな風に思います。

一歩一歩でも、1000歩進めば1000の先が見えるはず。これからの熊本は、復興というより精神的な発展をなしていくのではと、肌で感じています。震災からひと月半、あっという間でしたが、確かに歩いてきた道が残っていました。

 

 

大工の仕業?点検口のトラップ!

2016/04/29

本震から2週間が経とうとしています、あっという間です。子供達は学校に行けずちょっと時間をもてあそび気味、学校再開は5月9日を予定しているとのことなので、軽く夏休み状態です。

OBさま宅調査も順調に進んで、半分以上は調査完了。順次報告書を整理しているところです。調査日時点での被害状況とその被害に対する修復方法を書き添え、今後の復興の目安になるようにまとめています。が、うまく進むのはそこまで。実際補修にとなった時には、いろいろな不足が出てくることでしょう。待つしかないので、その間は補修方法などの最善を探る時間に充てようと考えています。

そんな調査の中で、大工さんのやるなぁ〜的な手仕事に出会いましたのでここにご紹介いたします。床下点検をしようと点検口に向かいました。

IMG_5438
いたって普通な床下点検口です。杉の厚板30mmなので、複合フローリングみたいに簡単に設置はできませんが、形・サイズ・メーカーとも普及品です。

で、その蓋の取っ手に手をかけ開けてみると、

IMG_5439
何か出てきました、これは床下にある断熱材です。点検口の蓋の裏にも断熱材をしっかり入れてくれています。

IMG_5440
その断熱材を外すと、床下のコンクリートが見えてきました。これでやっと床下点検のために潜っていけます。でも、ちょっと待ってください。写真左手に写っているのがその断熱材ですが、四角い木片みたいなものが付いています。表側を見てみるとこうなっていました。

IMG_5441
蓋の取っ手です。大工の気持ちというか、点検という行為を予測して作ってくれたのでしょう。よく知ってる大工さんなので、僕がこの点検口を開けた時のニヤけた面を思い浮かべながら、ニヤニヤしながら削ったのかもしれません。

いやいや、そんな斜めな見方せずに素直に素晴らしいと称賛すべきでしょう。ありがとう、大工さん。

今回の震災で日頃とは全く違ったボリュームの点検をしていってますが、少しづつでも日頃の点検ができていればさらにいいなと感じました。日頃の点検を可能にするのはこう言った小さな設え、心配りだとも思います。

床下空間をできるだけ確保する、屋根に登りやすいような外観デザイン、目視でしっかり確認できる天井の高さ、何より隠蔽して点検できないところは写真をきっちり撮っておく。

そんなことの積み重ねが家の長持ちを実現できる方法だと思います。これまでも、そのことは意識してきましたが、僕だけでなく作ってくれる職人さんたち、引渡し後のお客様にも点検がしやすいように、点検のポイントとか、方法、そして対処方法などをビジュアル的にわかりやすくまとめていけたらと思います。

今回の震災調査を、今後の震災復興へ繋げるのはもちろんですが、日常の家づくりや暮らしにも活かせるよう考えていきます。今日は、被害の大きかった地域を調査・視察してきます。自らが設計した建物でないにしても、心苦しくなるような気がして、緊張しています。専門家として、きちんと記録に残し、今後の安心安全に貢献できれば幸いです。

 

 

BLOG

カテゴリー

新着記事

アーカイブ