【飛熊の家_MTH】裸のグラスウールと気密シートによる高性能住宅をつくる。
2017/06/7
手仕事による住宅の気密化。
外部は左官工事の下地作りが進んでいましたが、内部でも面白い工事が始まってます。この住宅の基本性能である省エネ化のための作業です。断熱仕様は、床(スタイロフォーム FG75)・壁(マグスーパーイエロー16k105)・屋根(アイシネンフォーム150)という構成になています。その中の床と、壁の工事が進んでいるところです。
今回採用している気密シート「デュポン・タイベックスマート」気温が高い時、気温が低い時、それぞれの湿度の状態によって透湿効果が変化するという、不思議なシートです、詳しくはこちらメーカーサイトでどうぞ。
このシートを、床断熱の施された床面に敷き込んでいきます。途中抜けるようなところは、写真のように気密テープにて補強していきます。
FAD建築事務所がお勧めする床の仕上げ材は、無垢の厚板30mmなのでこのシートの上に直接張っていきます。この床板で気密シートを押さえ込んで、さらに気密を確保していくという狙いです。
パインの厚板も現場に搬入されていたので検品しました。右端のものなど、ちょっと使えないものも含まれていますが、自然のものなので仕方ないです。無駄が出ないように、張りながら調整していきます。
そして壁の断熱材です。マグのスーパーイエローという、裸のグラスウールです。
中身はこんな感じで、グラスウールそのものがまさに裸のまま入っています。
こちらが、同社同じ性能を持った袋入りのグラスウールです。あらかじめ、防湿シートと透湿シートに袋詰めされた状態で現場に届きます。
熱伝導率では、どちらも0.038W/m・kと一緒なのですが、施工方法が全く違います。縦に長い日本列島ですが、主に北の方ではこの裸のグラスウールを使うことが普通だそうです。熊本では袋入りが主流でした。何が違うのか?それは、気密性を上げるにあたり、袋入りはその袋自体が気密施工を難しくしていること、それとグラスウール自体に厚みの違いが生まれやすこと、だそうです。
確かに比べてみると手は掛かりますが、裸のグラスウールに気密シートを別張りした方が、しっかり断熱材を詰めることができ、しっかりとシートも張れて断熱・気密ともにクオリティは高いようです。
カタログと生とでは全然理解度が違うぞ!
ということで、今回採用しているグラスウールメーカーであるマグ・イゾベール株式会社から山根さんをお招きし、施工要領についての説明会を開催しました。なんとなく分かっていた施工要領でしたが、ちょっとしたコツと、補修方法などを聞くことができ、グラスウールによる断熱施工はもうバッチリです。まぁ、僕が現場で施工するわけではありませんが、やり方がわかると監理の仕方も変わってきます。
山根さん、遠いところありがとうございました。大工さんも、自信持って施工できるようになっていい勉強会になりました。また、気密検査の時はお声かけします。動画は、最近買ったばかりのデジカメでの撮影ですので、いろいろ準備不足でブレブレでした(汗)。
早速、次の場所にグラスウールを詰めている大工さん。これまでとスピードも仕上がりも違います。
大工さんに「何が変わったんですか?」って聞いたら、答えは「気持ちが変わった!」とのこと。我流であったものが、確実な形として実感できたからだそうです。まだ我流でやっている方いたら、絶対この指導はためになりますよ。「あぁ〜知ってる知ってる」で済ませていたらもったいないです。
こんな感じで壁の断熱工事が進んでいます。この後、この上に気密シート、先ほどのタイベックスマートを張っていき、気密施工を進めていきます。この気密施工については、大工さんだけでなく、電気屋さんや水道屋さんにも絡みが出てくるので、十分な打ち合わせにて作業を進めていきます。
裸のグラスウール、難しそうでしたがやってみると意外にそうでもなかった。ただ、確かな知識を持って取り組むのか、あやふやな知識で取り組むのかでは性能にも雲泥の差が出るかもしれません。FAD建築事務所のモットーは、基本性能は当たり前に、さらにその先の気持ち良さをとなっているので、基本性能で躓くわけにはいきません。いい住宅になるよう、ますます頑張ります。