お知らせ・ブログ

【飛熊の家_MTH】透湿防水シート+通気胴縁+バス板と進んでいます。

2017/06/2

外壁の下地はこうなってます。

 

屋根工事も終盤に差し掛かり、下の方では外壁の下地工事が進んでいます。今回の外壁は、高千穂シラスのそとん壁。地元九州で生産される左官塗り材です。原料はシラスと呼ばれる、マグマが冷えて岩石になる前粉末となったもの。一気に火砕流として堆積したため、他の土や植物などの有機物を含まない、無機質な素材です。詳しくは、こちらの動画を御覧ください。



 

そのそとん壁の下地は、こんな構成になています。

 

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まずは透湿防水シート。この白いシートは、内部からの水蒸気は外部へ通し、外部からの水の侵入を防いでいます。スケールを当てているのは、シートを下から順に張り上げた時の、重なり合わせている部分の寸法を測っています。青い点線までは重ねなさいというルールなので、基本的には測らなくても目視で確認できますね。

 

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次に、この縦に取り付けられた通気胴縁。幅45mm厚さ18mmの杉材です、足元の方は防蟻処理が施してあります。これを455mmピッチで縦に取り付け、そこの間にできた空間を空気が抜けていく仕組みです。

 

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こんな感じに整然と並んでいきます。シートの張り方状況も良好です。

 

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こちらは、バス板。標準語では、「木ずり(きずり)」というみたいです。僕らも学校ではそう習いましたが、実際の熊本の現場では「バスイタ」で通ってます。このバス板にも防腐防蟻処理が施されています。

 

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このバス板が、先ほどの通気胴縁の上に、概ね10mmの間隔をあけて張り上げられていきます。この状態も結構綺麗で見てて気持ちいい工程です。現在このバス板張りまでが進んでいますが、この後左官さんにより、アスファルトフエルトが貼られ、その上にラス網、そしてそとん壁塗りと進んでいきます。その左官さんの工程については、また次回お知らせします。

 

屋根の素材で、家の雰囲気はぐっと変わります。

 

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屋根の上にはピンク色に梱包された屋根材が並んでいました。

 

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そして、梱包をといて屋根が張り上げられていきます。使っている材料はグラスファイバーシングル。うちでご提案する住宅では、結構な確率で採用しています。しかもこのデザートタンというカラーがお気に入りです。

もともと、北米の木の皮を葺いた屋根を模造したデザインなのですが、離れてみると藁葺き屋根のような優しい印象を受ける仕上げです。うちで使い始めて15年経っているところもありますが、対応年数的にも問題はないようです。この素材のメリットを幾つか書いておきます。

・軽い、建物への負担が軽減できる。
・割れない、グラスファイバーを芯材にしたゴムマットなので割れない。
・差し替えができる、仮に破れたり飛ばされても、簡単に差し替えられる。
・コストパフォーマンス、屋根材の中ではずば抜けてる存在。
・デザインが素朴で優しい、特にこのデザートタン。

等々、おすすめできる理由がいくつもあります。このほか、FADで採用している素材はガルバリウム鋼板です。こちらの住宅でも、一部の壁と屋根に採用しています。

 

明るいところと、暗いところ。

 

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内部はというと、床の大引き間に断熱材が敷き込まれています。この後、気密シートにて気密を確保しながら、パインの厚板30mmの床板が張られていきます。左手の大開口も存在感が増してきました。カメラで少し誇張してますが、明暗のある空間は奥行きを感じます。

小さな家を、ただの小さな家で終わらせない工夫です。

 

 

【飛熊の家_MTH】構造金物の確認

2017/05/29

構造計算でしっかり設計、現場でしっかり施工。

 

構造計算(許容応力度計算)を行い、住宅設計をしています。今回は認定長期優良も受けた上で、耐震等級3を確保し、熊本地震を経験した上でさらなる安心をと思っています。ただ、設計がいくらそうなっていても、現場で間違ってしまっては元も子もありません。誰しもミスはありますから、そこを未然に防ぐためにも現場確認は必要です。

 

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まずは、土台のアンカーボルトセット状況、土台の端部にきちんとボルトセットされています。ぱっと見わかりませんが、右側から伸びている材は大引き(おおびき)と言われる材料ですので、アンカーボルトはありません。

 

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こちらは、土台の継手に設けられたアンカーボルトです。土台の上木側にきちんとセットできています。と、この段階で間違っていた場合は、基本的にどうすることもできません。あと施工のアンカーボルト等での補強となるので、再度部分的な構造チェックが必要になります。

結構な手間になるので、ここに至る前(基礎工事の時)に場所の確認はしておくべきですね。

 

メンテナンスし易いということは長持ちするということ。

 

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ついでに床下を覗いてみると、水道工事が先行されています。水色の配管が水、ピンク色の配管がお湯、そしてグレーの配管が排水管です。基礎設計の段階でこの配管ルートも想定しているので、綺麗に配管が並びます。これは、メンテナンスもし易いようにという狙いがあるのです。

 

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エアコンの先行配管です。住宅の外回りでカッコ悪いのがエアコンの室外機。それを目立たない場所にセットするために、事前に配管を張り巡らし、室外機と室内機の位置を計画しておきます。今回もバッチリ計画通りです。

 

構造金物のチェックは全数が基本です、大工さん任せでは無責任。

 

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柱の足元に取り付けられた柱脚金物の様子。設計通りの補強金物になってます。

 

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こちらは柱の上部に付けられた金物。こちらも設計通りでした。

 

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と、こんな感じで全数チェックしていきます。レ印部分は施工完了し、仕様も大丈夫だったところ。◯印部分は未施工だったり、金物違いだった場所。ほとんどが、納まり上どの金物にしようかと決まっていない場所でした。すべてその場で使用金物を選定し、無事金物取付完了でした。

この後ハウスジーメン(瑕疵保険会社)の、構造と防水にまつわる検査を受け、そちらも無事にパスしています。構造が固まってきたので、次は断熱や気密工事が始まります。住環境を良好な状態にするためには、これらも重要な内容です。大工さんたちには、面倒な内容もありますが、いいものを作ろう!と誓った、あの宴会での想いのままにますます力合わせて頑張っていきます。

 

 

【飛熊の家_MTH】ガルバリウム鋼板の屋根葺き開始

2017/05/29

上棟の後は屋根から

 

先日上棟を迎え、現場は着々と工事が進んでいます。大まかな家の形が見えたこの頃、進んでいるのは屋根工事です。

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といいつつ、こちらでは大工さんが空を見上げています。緑と青空が確かに綺麗ですね。

 

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天窓の取り付けでした、あらかじめ開けていた穴に、天窓がすっぽりと納まります。さらに、左側は壁の仕上がり部分と、天窓の枠がぴったりと美しく納まるように微調整がされています。

 

なんとなく気持ちいいんだよね。

 

出来上がってしまえば誰も気づかないような、小さな小さな納まりですが、日々現場ではこんな小さなことが繰り返されています。これをやっておくかどうかで、完成した時の建物の雰囲気には大きな差が生まれるものです。なんとなく気持ちいいんだよね、という空間の作り方です。

 

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天窓のついた屋根側です。室内とはぜんぜん違う、灼熱です。雨漏りリスクなどを考えると、屋根には穴なんてない方がいいですよね。それでもあえて穴を開けるのは、それにも勝る魅力があるから。

そして、その魅力を発揮させ、リスクを低減してくれるのがこの板金屋さん、小坪さんです。納まりについては、たまにダメだしもらったり、常に良い方法を考えながら作業にあたっていただきます。今回の天窓は比較的楽なものでしたが、それでもいつものように真剣でした。

 

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左側はガルバリウム鋼板のタテハゼ葺き、右側はグラスファイバーシングル葺き、いわゆる谷になる部分です。防水下地アスファルトルーフィングは連続して敷き込み、板金工事にて取り合いの納まりをつけています。赤い印は、シングル葺きをここから張り始めてね、という印になります。もし将来雨漏りが発生するとすればここだろうというところなので、最重要ポイントになります。

 

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建物外壁では、構造用パネルダイライトMSが施工完了です。今回の建物は、許容応力度計算(構造計算)の上、耐震等級3をとっています。これまで筋交いで構造耐力壁をつくることが多かったのですが、今回からはこれを標準にしていきます。ではなぜこれまで筋交いを使っていたのか?なのですが、きちんと理由がありました。

 

家は構造強度だけじゃない!

 

熊本地震以降、こちら熊本では木造住宅の耐震化にすごく興味が集まっています。あれだけの被害が発生し、耐震等級についても随分と認知度が上がってきています。消費者の方々の興味が構造に向いてきたのはいいことです。ですが、今度はそこだけがとりだたされ、造る側もそこばかりをアピールしてしまいます。そうするとどうなるか・・・。別の問題が起こるかもしれません。

先ほどの問いに戻ると、なぜこれまで筋交いを使ってきていたか?です。筋交いとパネルでは、筋交いの方が弱いという声も聞かれます。瓦屋根が危ない!といった根拠がすれてる都市伝説のような感じです。

実際は、パネルと筋交い、使う面積や本数、そして構造計算にのとって施工をきちんとすればどちらも目的の強度を発揮してくれます。瓦だってそう、その重さを受け止める建物本体の設計をすればなんら問題ないのです。どちらも、部分的な不利部分だけが先行してしまっているだけなんです。前置きが長くなりましたが、筋交いを使っていた理由は

 

「透湿抵抗を抑えたかったため」

 

なんです。筋交いで耐力壁を作る場合、その外部側には透湿防水シートが直接張られます。読んで字の如し、室内側の湿気を外部へ出しながら、外部からの水分の侵入を防いでくれるシートです。

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この絵は、透湿抵抗をイメージしたものです。左側が筋交いの場合、右側が構造用パネルを使った場合。構造用パネルも透湿しないわけではありませんが、透湿防水シートだけの筋交いよりも湿気を通しにくいのは一目瞭然。

できるだけ、構造体の中には湿気を残したくないので、これまで筋交いを使ってきたわけです。それが、このダイライトMSという商品、透湿抵抗値が他の構造用パネルに比べると、ずば抜けて良い数字なんです。

素材ごとの透湿抵抗値(㎡・h・mmHg/g)は以下の通り、数字が小さいほど湿気を通すという数字です。

透湿防水シート 0.13
構造用合板   10.00
OSBボード  14.00
MDFボード   4.80
ダイライトMS  2.30

一番多く流通している構造パネルが、透湿抵抗値10.00の構造用合板です。この素材が一番流通していたのですが、この数字では使えないな考え、ずっと筋交いを使ってきていました。

しかし、このダイライトMSの存在を知り、さらにパネルでありながらこの数字には魅力があります。家を長持ちさせるといううちのコンセプトには、構造だけじゃない、こんなところの条件も整える必要を感じていたのです。

 

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このダイライトMSは構造用パネルです。その施工要領なども細かく規定されています。いくらいい素材であっても、それら決まりごとをきちんとやらなければ、十分な性能を発揮できません。こちらは、そんな施工の決まりごとを検査しているところ。指定された釘の種類で、指定どおりの間隔で留め付けられているか。

意外と見落としがちな、釘頭のめり込みについても決まりがあります。このパネル自体にも、そんな施工要領が印刷されているので、その通りに施工することが大切です。

 

こんな風に、現場は進んでいきます。出来上がれば決してわからないところですが、こういった小さいことの積み重ねで、いい家は作られていきます。さらに、工事は進みます。次回は構造金物の検査予定です。それでは、またの報告をお楽しみに。

 

 

【飛熊の家_MTH】いよいよ棟上げなのだ!

2017/05/20

まずは集合!

 

いいお天気です、最高の上棟日和。朝7時30分には大工さんやクレーン屋さんが現場でスタンバイ。作業開始の準備を進めています。8時30分、一旦手を止めていただき全員集合。

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施主の紹介、そして施主からのご挨拶をいただき、棟梁の掛け声のもと作業開始です。

 

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建物の四隅にお神酒とお米とお塩を盛っていきます、四方固めの儀ですね。工事の安全を祈念します。

 

作業開始、安全第一で。

 

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段取り良く柱が建てられていき、徐々に家のフレームが見えてきました。大工さんたち軽々と柱を持っています。僕もチャレンジしましたが、フラついて邪魔なだけでした。

 

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柱の上に、梁や桁が掛けれれています。方形屋根を持つこの住宅も、この時点ではその特徴は見られません。この後、特徴的な隅木が乗っていくのですが、午前中の作業はここまで。

 

お昼の休憩、そして午後の作業。

 

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そしてみんな揃ってのお昼ご飯。施主が準備してくれた、超豪華なお祝い弁当を頂いたのですが、食べるのに夢中で写真撮るの忘れてました。これは、最後に残っていたお弁当の包み紙。ごちそうさまでした。

 

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透き通るような青い空に、クレーンの黄色が綺麗です。

 

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いよいよ、登り梁と隅木が掛けられました、迫力です。現代の家づくりの主流である木材のプレカット。この方形造りは苦手なようです。細部の取り合いは現場で大工さんが手加工していきます。ここから普通の家の棟上げ作業より時間がかかり始めます。ゆっくり綺麗に美しくです。

 

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垂木も掛かり始めました。方形屋根では、掛ける垂木の半分上は長さがバラバラです。写真のように、隅木に掛かる部分はその場で長さを測って、ぴったりの長さに加工していきます。プレカットでなく、昔ながらの大工さんの手加工であれば、この作業は事前に済んでいたのかもしれませんね、どうなのかな?

 

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そして屋根下地が張られ、すっかり形が見えてきました。

 

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室内からはこんな感じになってます。整然と並んだ垂木が綺麗です。

 

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屋根の一番上の部分です。いろいろ隙間が空いてますが、これはワザとですよ。この隙間をぬって、屋根で熱くなった空気を屋外へ排出します。いわゆる、屋根通気です。中央のでっかい柱は、換気棟を取り付ける際に長さを調整してカットします。

 

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3時の休憩時間。現場は広いのですがまだ日陰がありません。ここは現場脇の木陰、自然とみんなここに集まってきます。涼しいところで、施主からの差し入れ冷たいアイスキャンディー。おいしかったです。

 

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この日の最後に棟札を準備しています。施主ご家族と設計と棟梁の名前をお札に書き込み、神社さんから頂いたお札を一緒に取り付けます。

 

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棟木がないので、大黒柱の一番上に取り付けています。仕上がってしまえば天井裏で見えなくなるところですが、すごく丁寧に取り付けられました。毎回、このいっときは感慨深い時ですね。

 

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無事の上棟を施主にねぎらってもらって、また明日からの家づくりに繋げていきます。「本日は本当にお疲れさまでしたぁー」と皆で掛け声。と、屋根の上から小気味良いトントントンという音が聞こえてきます。写真に足だけ写っています、屋根屋さんです。大工さんが屋根下地を張り終わらないと張れない、防水シートアスファルトルーフィングを張られてます。いつもいつも最後最後の作業ありがとうございます。

 

チームワークの力。

 

ということで、無事の上棟となりました。途中、登り梁が破損するというなかなか見られないアクシデントに見舞われたのですが、大工さん、木材屋さん、プレカット工場の見事な連携で、その登り梁のトラブルも見事解決。

こんなチームワークでこれからの作業にも取り組んでいきます。形がすっかり見え始め、ますます完成が楽しみです。ありがとうございました。

 

 

【飛熊の家_MTH】土台敷きが始まりました。

2017/05/17

上棟前の準備、着々と。

 

上棟まであと数日、お天気も最高な予報です。本日は下準備として土台敷きが行われております。土台敷きとはなんぞや?

 

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現場の全景写真です。基礎の上に乗っけてある木材を、土台と言います。熊本ではヒノキ材の場合が多いようですが、中には集成材や、加圧注入材といったものもあるようです。うちではヒノキ材を採用しています。理由は、完全自然素材であり、一番流通しているので入手しやすい、構造安定性があり、加工も容易であること。他の集成材や注入材は素材自体に手を加えてあるので、木造でありながら木造でないイメージがあります。

 

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こちらは現場に搬入されている梁材です。杉材ですね、機械乾燥にかけられたいわゆるKD材(ケーディーザイ)と呼ばれるものです。KD材は強制的に素材が持つ水分を蒸発させ、構造安定性を高めた材料になります。木材の水分量率を含水率(ガンスイリツ)といいますが、概ね15%〜18%程度が構造材として適しているとされています。

これは、平衡含水率(ヘイコウガンスイリツ)に人工的に近づけ、木材の寸法安定性を保たせるためであり、平衡含水率とは、簡単に言えば木材が乾燥していく過程で、その地域の気候・風土の環境により、木材が含んでいる水分量が安定た状態の数字です。この数字になるまでには、木材は乾燥とともに収縮も起こします。この収縮が建った後の建物で起こると不都合もあるので、前もって人工的に乾燥させるわけです。機械乾燥の他に、時間をかけた自然乾燥という手法もありますが、時間と費用がかかるため主流ではなくなってきています。

 

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基礎の上に土台が並べられ、アンカーボルトによって基礎と土台が繋がれました。写真はその締め付けのためのスクリューナットです。床板杉材30mmが直接この土台の上に乗っかるので、土台からアンカーボルトが出ないように納められています。以前は、土台の方を四角くくりぬいて座金とナットを取り付けていたのですが、今はこの木材を掘りながら締められるスクリュータイプが主流のようです。

 

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同じくアンカーボルトの写真ですが、こちらは土台の継手(材と材をつなぐ部分)付近に必要なアンカーボルトです。継手の状況としては、写真右側の土台が左側の土台の上に乗っかって、左側の土台を押さえ込んでいる状態です。そして、その押さえ込んでいる側の土台に、アンカーボルトが取り付けられています。たまに、他の現場を覗いてみると、これが逆になっているところもあります。アンカーボルトが左側の材についていたら、右側の土台に何らかの力がかかった場合、浮き上がってもおかしくありません。地味な部分ですが、しっかりとした施工が必要です。

 

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最後は基礎パッキンの設置状況です。先日紹介したステンレス製の基礎パッキンが敷き込まれています。

 

わかりにくいですが、土台の継手部分と柱の直下部分、そして土台の端部にそれぞれ設置されており、土台へかかる荷重をしっかりと基礎へ伝達できるようになっています。合わせて、通気を兼ねているので、向こう側の風景が見えていますね。たったこれだけの隙間ですが、これで床下空間の換気能力は相当なものになります。

話は変わりますが、「新築の家でゴキブリが出た!」ってなげかけてる奥さま方の声をたまに聞きますが、家にはこんな感じで隙間があります。ゴキブリって元々家の中にいるものではないので、外から侵入してきたものです。なるべくこういった隙間を少なくしようと家は作られていきますが、虫たちが侵入できる隙間は必ず出てきます。ドアの開閉や、窓の開け閉めのタイミングもしかりです。ことゴキブリについては、室内に餌となるものがあると当然寄ってきますので、それらがないように心がけていただくのが最良だと思います。

 

いよいよ明日は上棟です。2017年5月18日、1969年のこの日アポロ10号が打ち上げられたそうです。方形造りの屋根がアポロ号に見えなくもないので、なんだか繋がりを感じてしまう今日この頃なのでした。

 

 

 

 

 

【飛熊の家_MTH】基礎の出来型検査

2017/05/14

基礎の出来型検査という確認

 

相変わらずお天気な今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?基礎工事完了から数日たち、出来型検査をやってます。出来型検査とは、設計通りの寸法・仕様にに仕上がっているかどうかを確認していく作業です。見るところはいくつかありますが、今回はその一部をご紹介します。

 

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問題1
まずは外回りです。基礎の外周部の写真ですが、どこを見ているかわかりますか?答えは最後に列記します。

 

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問題2
次は、基礎内部の写真。さてこちらはどこを見てるのでしょう?

 

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問題3
これは何?スケールが当ててあるので、寸法のチェックでしょうが何でしょう?

 

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問題4
これは簡単ですね。

 

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問題5
こちらにもスケールが当ててありますね。

 

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問題6
これも分かるかな、写真で見えにくいかもしれませんが、思い浮かんだきっとアレです。

 

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問題7
最後はこちら、見たまんまですね。

 

答え合わせです。

いかがですか、全問わかりましたか?それでは答えを書いてみますね。

問題1
基礎外周部の施工状態を見ています。底盤部分と立ち上がり部分には、どうしても打継ぎ箇所ができるため、綺麗にその打継ぎ部分にコンクリートが充填されているかのチェックです。悪い場合には、モルタルなどにより補修を行いますが、今回はご覧の通り綺麗にできていました。

問題2
基礎の内部ですが、こちらも問題1と同じです。打継ぎの部分、基礎のコーナー部分などにコンクリートがきちんと満遍なくいき渡っているか。合格です。

問題3
こちらは難しかったかな。正解は、ホールダウンボルトのセット位置の確認でした。設計では、通り芯から95mmくらいをホールダウンボルトの芯としています。うまく柱にホールダウン金物が取り付けられるように、この辺りの位置にも指定を設けています。うまくない現場では、ホールダウン金物を取り付けるために、後からこのボルトを大工さんが曲げるところもあるようです。もちろん、真っ直ぐの方がいいですよね。

問題4
一番らしい写真でしたね。正解は、そう基礎のサイズ計測でした。基礎の高さと幅を測っています。高さ420mm、幅150mm、どちらもOKです。

問題5
独立柱を土台ではなく、直接基礎に定着させるためのアンカーボルトです。スケールを当てていますが、この長さにはあまり意味はなく、柱の取り付け易さ、如何に無理なく取り付けられるかが、ひいては強度の安定につながります。仕事しやすいということは、品質も保ちやすいということなんです。

問題6
写真見えにくいですが、基礎から立ち上がっているアンカーボルトの間隔を計っていました。このボルトの立ち上げ位置についてもきちんと仕様を設けています。まずは、1800mm以内である事、土台の端部、構造壁の端部、そして土台の継手部分、この4つの条件をクリアさせていくと、だいたい910mm間隔になってしまい、写真のようになります。

問題7
最後は、今回初めて採用したユニットバス床下への基礎点検口。発泡スチロール製で、ユニットバス床下の気密と断熱をサポートしてくれます。基礎コンクリート打設時に一緒に打ち込むものなので、どんな風になるか気になってましたが、ご覧の通りバッチリでした。ユニットバスの断熱性も最近のものはものすごく良くなっているようですが、この辺りの床下空間を整えることで、さらに浴室が快適になるはずです。

 

いかがだったでしょうか?今回は、クイズ形式になりましたが、住宅建築にはいくつもクリアしなければならない項目がいっぱいあります。そういった項目をきちんとチェックし、品質を担保できるものにしなければなりません。仮に何か問題があった場合でも、その原因箇所が探せるようにしておかなければ、補修や改善にも時間がかかり、最良の改善方法は導き出せないのです。

作るときだけでなく、出来上がった後のメンテナンスのことも意識していくことが大切ですね。

 

 

【飛熊の家_MTH】基礎パッキンの荷受け

2017/05/12

基礎工事が終了しました。

 

無事に基礎工事も完了しました。連休がはさまったり、お天気が崩れたりとちょっとヒヤッとしましたが、予定通りに進んでいます。基礎工事お世話になった池端建設さん、いつも丁寧な仕事ありがとうございます。

 

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コンクリートも雨に濡れて、なんだか趣が増してます。雨といえば、先日の鉄筋のサビについてと、合わせてよく質問受けるのが「基礎内に水が溜まっていてもいいかどうか?」です。結論から言うと、問題ありません・・・が条件付きです。その条件を列記しますね。

・コンクリート打設終了後24時間程度経っていること。

コンクリートが固まる前に雨に濡れると、コンクリートの品質が落ちてしまいます。コンクリートは、セメントと骨材と砂それに水を加え、それぞれの分量を計測して工場で作られて現場に到着します。コンクリートの品質はその状態でなければいけないのに、そこに水が追加されてはまずいですよね。逆に、コンクリートがいったん固まり始めれば、水を張ることで急激な水分蒸発を抑えることができ、コンクリートにとってはいい場合もあります。

・基礎断熱ではなく、床裏断熱であること。

雨に濡れない場合でも、コンクリートには微量な水分が含まれています。その水分は床を張った後も残っており、徐々に床下に蒸発していきます。雨に濡れればその分水分量も多いままになってしまいます。基礎断熱の場合、床下への外気流入はない(外気での換気はない)ので、どうしても湿気が床下に残りやすくなります。一方、床裏断熱の場合は、床下空間を外気による換気にて考えているので、湿気の籠りも少なくできます。要は、基礎からの水分を床下に溜めないことが大切だ、ということです。※基礎断熱がダメだというわけではありませんよ。

 

基礎パッキンの劣化対策。

 

最近、うちで設計する建物にはステンレス製の基礎パッキンを使っています。価格的には3倍くらいしそうですが、一般的な樹脂製のパッキンの経年劣化が少々気になるからです。樹脂製のパッキンが採用され始めて20年くらいだと思います。もう20年ですが、まだ20年しか実績がないとも言えます。ステンレス基礎パッキンはそれよりも実績は浅いですが、ステンレスという素材は樹脂よりもはるかに劣化対策には有効な素材です。

 

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ダイカラットといいます。今回は2箱(100枚)の注文で、在庫の20枚と合わせて合計120枚使う予定です。

 

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先日のブログでも書いたように、わかっていても荷受けの確認を行います。梱包を解いて、中身の確認です。もちろん、問題なし!

 

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製品のアップ画像。通気性も良いので、先ほどの床下空間に湿気を留めないようにできます。見た目には、なんか別のものに見えるのは僕だけでしょうか?みなさんは何に見えますか?

 

現場は、上棟を待つばかりです。今週は雨が続くようですが、上棟予定の来週はお天気良さそうです。構造材が搬入され、足場が組まれ、そしていよいよ上棟作業が始まります。その模様はまた来週お知らせしますね。

 

 

 

【飛熊の家_MTH】立上がりコンクリート打設完了

2017/05/2

基礎工事も終盤です。

連休真っ只中な今日この頃ですが、現場では基礎の立上がりコンクリートが打設されました。午前中に型枠が建てこまれ、午後からの打設でした。配筋検査は終わっていたので、夕方現場を訪ねてみました。

 

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ほぼほぼ、作業完了のようです。掃除しながら片付けが始まっています。ただ、青いタオルを巻いた西山さんはまだ何か作業を続けてました。

 

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ピピピーッ、ピピッー、電子音が現場に響いいています。これは、基礎の天端(テンバ)を出しているところ。鋼製の型枠に、磁石を張り付け基礎の高さの目印をつけてるところです。通称レベラーというモルタルのゆるーいペースト状のものをこの基礎の上に流し込み、液体が水平になろうとする原理を利用して、基礎天端の高さだしと水平確保をしていきます。地味ですが、ここできちんとレベル(水平)になってないと、この上に乗っかる木構造も水平には保てないというわけです。

 

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なぜかヒョウ柄の袋に入っています。これがレベラーです。所定の水で練って、先ほどの基礎の上端(ウワバ)に流し込んでいきます。

 

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左側が掃除後の基礎表面、右側が掃除中です。まわりに溢れたコンクリートを丁寧にスクレーパーでそぎ取り、ホウキで綺麗にはいてもらってます。型枠が外れると、さらに綺麗に仕上がります。

 

本日の作業は、レベラー流しで完了です。基礎屋さんも、明日から連休入りますとのことでしたが、次はもう土曜日から仕事だそうです。地震以降の行程の乱れが、まだまだ影響しているようです。この現場にも、土曜日に仕上げで入る予定とのこと。その時にいよいよ型枠が外されます。あとは埋め戻しなどの敷地整地が行われ、基礎工事完了になります。そのあとは、いよいよ木工事スタートです。

 

 

 

【飛熊の家_MTH】基礎の配筋検査が終わりました。

2017/04/28

基礎の配筋検査実施。

 

お天気続きの気持ちいい日が続いていますが、今回は基礎鉄筋の配筋検査をやってきました。先日のブログでも書いていた、基礎の鉄筋コンクリートを構成する鉄筋部分の検査になります。検査の結果はもちろん合格です。今回は、その検査内容について幾つかご紹介します。
※今回紹介の他にも検査項目はあり、しっかり検査して写真管理をしています。

 

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一つ目は、先日のブログで紹介しました「鉄筋のカブリ寸法」の確認です。測っているのは、基礎の外周部を真上から見たところです。左側にあるのが、コンクリート型枠と呼ばれる、コンクリートを形作る文字どおり枠になり、このパネル面がコンクリートの表面(土に触れる部分)になります。

確認するのは、この型枠から一番近い鉄筋までの距離です。設計では6cm以上確保するようになっていて、その該当する鉄筋は縦筋になります。写真でもわかる通り、6cm以上確保できてましたので合格です。

 

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こちらは、土間スラブの配筋状況。設計ではD13の鉄筋を20cm間隔で縦横に配置するようになっています。現場ではこんな風に言います。

D13をタテヨコ200ピッチで 
デージュウサン ヲ タテヨコ ニヒャク ピッチ デ


こちらも検査合格ですね。

 

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お次は、基礎コーナー部分の補強についての検査です。基礎には、このような曲がり角がいくつもありますが、その部分には鉄筋の補強が必要になっています。

横方向のスケールを当てている部分で、鉄筋が2本並んでいるのがわかると思います。このうち1本が補強のための鉄筋で、40dの確保が必要です。D13なので520mm、合格です。

 

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次も同じコーナー部分の補強筋ですが、上記部分とはちょっと趣が違いますね。そう、右からの鉄筋が斜めに下がっています。しかし、決してズレ落ちてるわけではありませんよ、狙い通りにきちんと留めてあります。その訳は・・・

コンクリートにはおおよそ25mmの砂利(骨材)が混入されています。その砂利がきちんと満遍なくゆき渡るように、わざと隙間を開けているのです。左から伸びている2本の鉄筋と合わさって、3本になるのを避けているのです。

 

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次は何でしょう?鉄筋をアップで撮っています。注目は白い点線の中にある刻印です。ちょっとわかりにくいですが、十字に穴あきのマークと、その右側に13という数字が見えます。実はこれ、鉄筋のメーカーとサイズが刻印されているのです。今回の鉄筋メーカーはこちらになります。

 

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表示マークが青い○印中に確認できますね。住宅の設計で指定するのは、鉄筋の種類(表中にあるSD295A)とサイズ(D10とD13)になります。

実は鉄筋にはいくつも素材があり、その素材で強度や粘りなどの特徴が違ってきます。この素材の違いは、鉄筋をじーっと見てもわからないのです。加工場へ入る前であれば、伝票とかあるのですが、現場に届いた後に頼れるのはこの刻印だけなのです。

 

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すべての鉄筋の検査が午前中に完了し、設計通り問題なく合格でした。午後からは、土間スラブのコンクリートが流し込まれ、夕方にはご覧の通りきれいに均されています。本日も暑い日でしたが、どうもお疲れさまでした。次回は、基礎の立ち上がり部の型枠建てと、同じくコンクリート打設になります。

 

 

【飛熊の家_MTH】配筋作業と配管作業が進んでます。

2017/04/27

ベースコンクリート打設に向けて。

 

コンクート打設の予定が、4月28日の午後からになっています。お天気の心配はないようなので、随分気は楽な今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?

 

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鉄筋の配筋工事が進んでいます。終日雨が降っていましたが、職人さんたちは黙々と届いている鉄筋を組み上げていかれます。この鉄筋にまつわる質問で多いのがサビについてです。

「サビが出ている鉄筋でも強度とか大丈夫なの?」

結論から言うと、基本的には大丈夫です。基本的にというのは、そのサビの状態・程度によるということです。表面にうっすらとついてるようなサビは問題ありません。内部にまで侵食しているようなものはもちろんNGです。ここで、鉄筋コンクリートについて少し解説しておきます。

 

鉄筋コンクリートの特性

 

文字通り、コンクリートと鉄筋のハイブリッドになるわけですが、コンクリートも実はセメント・砂・骨材・水のハイブリッドなんです。そのコンクリートの特性として、圧縮する力に強くて、せん断する力(物体内部でズレようとする力)、曲がろうとする力には弱いとされています。これを補うのが鉄筋になるわけです。

そして、この鉄筋の弱点がサビなどの腐食ですね。そこで面白いのが、この鉄筋の弱点を補うのがなんとコンクリートなんです。そもそも、鉄筋が錆びるのは鉄が酸化して起こっている現象です。この酸化に対して、コンクリートの強アルカリの性質(なれない人が素手で触ると肌荒れしちゃいます)は非常に効率よく働いてくれます。それぞれの弱点を補いつつ出来上がっている鉄筋コンクリート、近代建築にはなくてはならない素材ですが、あらためてすごいなと思います。

ということで、コンクリート内に封じ込まれた鉄筋のサビは、それ以上進行することはないということになります。。鉄筋内部まで腐食が進んでいない、表面に乗ってるだけのサビは心配ないというのはそういうことです。

ただし、このコンクリートと鉄筋のハイブリッド作用が永年続くかというとそうでもないんですね。鉄筋のサビを抑えているのは、コンクリート(に含まれる水酸化カルシウム)の強アルカリ性です。この水酸化カルシウムが空気中の二酸化炭素と反応して、炭酸カルシウムとなり同時にアルカリの性質が酸性へと変化していきます。こうなると、鉄筋のサビを抑える効果もなくなっていくのです。話が逸れますが、トンネルの天井のコンクリートが落ちたとか、ビルの外壁の一部が落下したとかニュースで目にすることありますよね。多くはこうしたコンクリートの劣化(中性化)により、内部に水が侵入したり、アルカリ成分が少なくなり、そこにある鉄筋をサビさせ、サビの発生により鉄筋が膨張して、コンクリートを押し割っているのです。

 

ついでにカブリ厚さについて。

 

このコンクリートの劣化スピードの話も付け加えると、10年で5mmというのがよく言われます。僕も実験したわけではないので、いろいろな情報を整理してると、そうなのかなと思います。公の鉄筋コンクリート建築物の対応年数は45年からと言われています。確かに、学校などの大規模修繕はそんなタイミングで行われます。ここで鉄筋とコンクリートの組み合わせで重要条件となるのが、鉄筋のカブリと呼ばれる寸法です。

 

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これは普段勉強会などで使っているスライドですが、それぞれの部分でカブリ厚さが建築基準法で定められています。その数字が表の中に書いてありますが、このカブリ厚さは、コンクリート表面から進む中性化のスピードを考慮したものなのです。より、中性化が進みやすい土中ではカブリ厚さを多くとって、コンクリートの劣化を防ぎ、鉄筋の腐食を抑えようとしています。

 

配管工事も進んでますよ。

 

鉄筋作業が終盤になると、タイミングを見計らって水道屋さんが配管を仕込みに来ます。コンクリートが流し込まれるまでの、少しの時間にやらなければいけないので、スケジュール合わせるのは水道屋さんの協力なくては難しいところです。

 

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HD住設の中村さん、ものすごく真面目で硬派な方です。今回も認定長期優良住宅なので、配管についてもいろいろ配慮が必要になってます。

 

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これは、さや菅と呼ばれる配管補助材です。本来必要な排水管より一回り大きな配管を、先にコンクリートに埋め込んでおき、その中を本当の配管が通っていきます=さや菅ですね。要は、将来何らかのメンテナンスで配管の交換が必要になった時、コンクリートを壊すことなく、配管の遣り替えができるようにという、住宅の長寿命化をサポートする部材になります。

 

鉄筋検査はまた後日あらためますが。

 

せっかくここまで出来ているので、鉄筋の検査も少ししてきました。

 

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立ち上がり鉄筋の定着と呼ばれるところです。基準では、45d以上確保しなさいとなっています。意味としては、鉄筋径をdとした場合、その45倍の長さを確保するようにということです。今回のdは10なので、450mm以上ということになります。実測値は670mmでもちろんOKでした。

 

次回は、鉄筋の配筋検査と、底盤コンクリート打設になります。

 

 

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