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【そもそも床暖房なんていらない!】メリット・デメリットとか言う前に。

2015/12/1


床暖房ってどうなの?メリットあるの?

この時期に設計のご依頼を頂くと、結構な確立で「床暖房をつけたいんです。」とご相談を受けます。みなさん、寒がりだからとか、冷え性だからと、その寒さ解消のためにと心に誓われているようです。でも、私に相談したらかなりの確立で、「床暖房は必要ないですよ、勿体ない。」と即却下されてしまいます。「えぇ、その分の予算はちゃんと確保してますから。」といわれたら、ますます却下です、勿体ない。あからさまなデメリットがあるわけではないのですが、なくても大丈夫!その予算はほかへまわしましょう!という提案です。

なぜ却下するの?

別に、床暖房が憎いわけではありませんよ。特に目立ったデメリットがあるわけでもありません。床暖房は特別必要ないっていってるだけです。話しを戻しますね、なぜ床暖房が欲しいんですか?「それは冬寒いから、足が冷たいから」ですよね。ということは、寒くなくて、足も冷たくなければ必要ないってことですよね。

そもそもそんなに寒くないはず。

まずは基本に戻るということ。これは先に書いた、そもそもなぜその床暖房が欲しいのか?という理由・原因を思い返すことから始まります。寒くなく、足が冷たくなければ解決する内容ですね。おそらく、これまでの生活の場(賃貸アパートとか古い木造のご実家とか)でそういった経験をされてきたのでしょう。それらの住まいは、明らかに現在の住宅仕様・性能より劣っているので、寒かったり足が冷たかったりしたはずですが、多くの現代の住宅では断熱性能が上がり、大部分で解決できるはずです。5年後の2020年にはそういった性能基準をクリアした住宅でないと造れない・売ってはいけなくなるので、ますます性能自体の平準化は進んでいくはずです。

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築40年の木造住宅、床下に断熱材なんて入ってません。寒くないわけが無い。

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現代の木造住宅、床裏に5cmの断熱材が施されています。しかも隙間を造らないように施工されます。

断熱材だけではない、ヒューマンフィーリング。

床暖房は必要ないといっていますが、断熱材だけでそれをクリアすることはなかなか難しいでしょう。ではほかに何をするのか?そもそも熱は特性として、温度の高い方から低い方へと移動していきます。←ここすごく重要です。中学生の理科で習っています。下に4種類の素材があります。

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左からスギ無垢板30mm、ナラ無垢板クリアウレタン塗装15mm、サワラ無垢板115mm、スチール10mm。

ここで問題です。この4種類の素材のうちどれが一番冷たくて、どれが一番暖かいか。感のいい方なら、サワラが一番暖かくて、スチールが冷たいと分かるはずです。この実験を床暖房を希望されるお客さまにもやってもらいます、実際に手で触れてもらって素材の違いがどう影響するのか。触ってみても、先の回答に違いはありません。ほとんどの方がそう答えられます。そこで、この機械の登場です、実はこれ温度計なんです。物体に触れずにその物体の温度を測ることができます。

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赤外線放射温度計。Amazonで5000円くらいで買えます。

写真は壁をはかっています、壁の温度が22.9度ということです。ここで、先ほどの4種類の素材の温度を測ってみます。何となく分かるでしょう。そう、4種類とも同じ温度なんです。しかも、壁の温度22.9度とほぼ同じという結果です。

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スチールプレートの温度も22.9度。触ってみるとめちゃ冷たいのに・・・。

なぜそうなるのかというのは、最初に書いた熱は高い方から低い方へ移動するという性質。さらにその性質がどんどん進めば、一体に存在する物体の温度は同じ温度になるということです。つまり、30度の熱を持つ物体が、20度の熱を持つ物体と隣り合った場合、30度の熱が20度の物体側へ移動していき、両者が同じ温度になる25度で安定状態になる。そんな科学が起こっていたのです。

熱伝導率の違いを意識する。

先の4種類の素材、結局温度は同じなのになぜ触ると差があるのか?それは熱伝導率に違いがあるからです。物体は同じ温度になろうとしている。これは先にかいた通りですが、熱伝導率に違いがあるためそこに時間差が生まれます。4種類の素材のうちサワラが一番熱伝導率が低く、スチールが高い素材です。

熱伝導率表
素材の違いによる熱伝導率の違い。鋼材と木材では375倍の違いがあります。

つまり、人体の温度が35度だとした時に、室温22.9度であればサワラもスチールも22.9度になっています。その環境でそれぞれに触れると、人の熱が温度の低いサワラやスチールに移動していきます。その時、木材の実に375倍というスピードで熱が伝わるスチールの方がより冷たく感じるわけです。熱いや冷たいといった人の感覚は、実際の温度以外にも、この熱伝導率にてかなり影響を受けているということなんです。

床暖房が無くても冷たくない。

ここまで書いてきたことを意識して設計すれば、床暖房なしでも床が冷たいと感じることは無いと思います(個人差はあると思いますが)。まずは断熱材を適宜断面に組み込み、直に肌に触れる素材を吟味する。素材自体の温度を上げるために太陽の光を床に当ててみる。さらに、その熱が廻りに逃げていかないように、家全体の断熱気密化をはかっていく。

床暖房設備には熱源もいろいろあります、電気・ガス・灯油。お湯を沸かしそのお湯を床に回したり、電熱線を張り巡らしたり、不凍液を暖めてまわしてみたり、ほんとに多くの床暖房設備が存在しています。その中でどれがいいのか?自分たちにどれが合っているのか、将来のメンテナンスは?コストは?採用までにはいろいろ検討する必要があるようです。お金をかけ時間をかけても将来は・・・。勿体ないと思いませんか。同じ時間を掛けるなら、どの素材が気持ちいいのか、どの方角から太陽は差し込むのか、窓の大きさはどれくらい・・・、こんな家自体のポテンシャルを引き出すことを考えた方が、面白くて楽しくないですか。

床暖房は無理矢理、物理的温度を上昇させ人体温度まで近づけ、あるいはそれ以上にして我々の快適をつくるもの。一方、素材や断熱材、太陽などの自然エネルギーを工夫して快適を生み出すパッシブは、科学的思考のもとつくりだすスマートな方法です。いかがでしょう、こちらの方が断然家づくりとして魅力的だとぼくは思うのですが、みなさんはどう思いますか?

 

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