いいものは長く使われ、そして愛され続ける。
2015/02/9
先月末にFAD建築事務所のWEBサイトをリニューアル公開し、あわせてうちの新しいサービスも同時に公開しました。リリースして一週間が経ち、サイトへのアクセス数は順調に推移しています。新サービス「暮らしバコ提案セット」の方は、先月末に広告をして、そこからのご依頼はまだ届いていませんが、以前からご予約いただいていた計画が本日よりスタートしました。リフォームの計画ですが、なかなか手強いものになりそうです。
少なくとも築60年は経っているはずです。戦前なのか、戦後なのかが微妙な感じです。基礎はほとんどが石場建てで、一部ブロック基礎に変更されています。床下に潜ってみると、土のままの土間が広がっていて、床組に使われている木材も寸法がそろった規格ものではありません。全部バラバラです。それらを一つ一つ調査するのは至難の業でしたが、午前中に事務所へ戻ってきました。ものすごい冷え込みと、容赦なく吹き付ける冷たい風に心折れそうにもなりましたが、楽しみなリフォームになるので奮起しました。
同時に、屋外では整地作業も進んでいました。実はこの建物、鬱蒼とした竹や雑木の中に埋もれるように建っていた平屋のお家。しかもその敷地面積が700坪。竹や雑木の伐採や除根、そしてやっと整地まで進んできたというところです。整地作業の方に声を掛けると、「寒かねー」といいながらも笑顔で返事いただきました。やっぱり笑顔は気持ちいいですね。いろいろ話していると何やらビニール袋を持ってきてくれました。
「タケノコの新芽だけん」と、除根している時にちょこちょこ出てきたそうです。まだ全然土から顔を出していない可愛らしいタケノコちゃん。早速頂こうと思いますが、しっかりと調理方法をリサーチして美味しく頂こうと思います。
青空でポカポカに見えますが、屋根の上は風が容赦なく吹き付けてフラフラでした。屋根勾配も4寸くらいあるので、なかなかのへっぴり腰になっていたと思います。内壁・外壁共に基本新壁で土壁、どう断熱と気密を確保して、温熱環境を整えていくか。もちろん、構造的補強も必須です。幸い雨漏りなどは大した被害もなく、あれだけの森の中に建っていたわりには、シロアリの被害も今日は見当たりませんでした。
そんな基本的住宅の性能を確保した上で、今後住まわれるクライアント家族がずっと心地よく、楽しく暮らせるような家をデザインしていきます。先日、そんなクライアントの暮らし方についていろいろなお話を聞きました。アンティークが好きだと言うのは前からも聞いていましたが、その真意がただの趣味思考ではないのだということに気づかされました。
◎いいものは長く愛され使い続けられる。
これこそがアンティークであり、そうでなければアンティークとして名乗れないのだと。こんな風に直接お聞きしたわけではありませんが、クライアントのものに対するやさしくも強い想いを感じ取りました。この家も中古として買い求められたものです。直接の繋がりがあったものではないそうですが、自分たちの家として手にされました。
これから3週間、そんなリフォーム計画のプレゼンテーションを成功させるべく、計画を進めていきます。結果はまたその後にアップしようと思います。どんな提案ができるか楽しみです。